業種/割烹・お茶屋

所在地/石川県金沢市

心尽くしのもてなしを愉しむ

金沢には「西の廓」「東の廓」「主計町」の三つの茶屋街があり、女将は西茶屋街の「明月」で14年、芸妓として活躍されていた。

風味豊かな料理、素敵な器、手入れの行き届いた空間、趣のあるしつらえ、お店の方の柔らかな物腰。端々から感じられる店主のもてなしの心に、自ずと気分は高まる。

元は三階建ての古いビルを解体し、新地からの建設を行った貴久美のコンセプトは「金沢の大人の社交場・一切の煩わしさから解き放たれる街中の隠れ家」。

幻想的な光の格子と重厚な石畳を敷き詰め、贅沢な空間に仕上げたアプローチ。完全予約制の為、あえて気軽に入りずらいデザインに。
格子から漏れる光を見ながら、重厚感のある石畳を歩き店に入る。

装飾的要素を徹底的にそぎ落とし、空間の“間(ま)”と“距離”の組み合わせだけで成立するミニマルなデザインとしました。

カウンターのむこうは畳敷きがあり、ライトアップされた坪庭は一幅の絵のよう。陰陽のついた天井は高く、8mの無垢のカウンターは、存在感と木の温もりを醸し出してる

座敷は朱塗りの漆喰壁、白漆のテーブルと白のコードバンの座椅子が空間をモダンにみせている。床壁天井から漏れる間接照明が朱の壁に反射して雰囲気をだしている。

窓は竹のスクリーンで隠し、間接照明で竹の柄が浮きだされる。

Before / After

建物の解体を行い更地にして地鎮祭を
建物の全景をあえて隠し、斜角の塀と格子のレイヤーで構成することで、茶屋街がもつ「奥行き」と「間」を現代的に解釈。光が格子を通じてこぼれ、外観に静かな緊張感を纏わせています。
鉄骨組立
正面の開口部は低く水平に切り取り、その奥に深い奥行きを持たせることで、庭の景色が額縁のように浮かび上がります。余白の静けさが料理の時間を引き立たせて。空間全体に落ち着いた格式をもたらしています。
一枚ごとに異なる表情をもつ天然石を選び、重厚な乱貼りでアプローチを構成。光と影が石肌を際立たせ、訪れる人を静寂の中へ誘う“迎えの道”をデザインしました。
玄関は2ヵ所に設けることで、お客様同士が顔をささないように、自然に来店できるように導線を整理するように設計をしました。奥行を長くとり、灯りを点在させた通路は、非日常へ誘う期待のプロローブとなる空間です。
トイレ
那智石の洗い出しの床に、珪藻土の壁と天井。素材の質感を活かしながら壁面には光を内包した格子を設け、幻想的で奥行のある静寂空間を構成しました。控えめな光が器具や器を柔らかく照らし、品格のある佇まいに仕上げました。
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